なぜそうなるか

自転車を買取に出すと、住所や年齢を聞かれるのはなぜ?——古物営業法の第15条は、買い受ける古物商に「相手方の真偽を確認するため」の措置を求めていました

乗らなくなった自転車を、買取店に持ち込む。あるいは、宅配やネットの申込みで買い取ってもらう。そのとき、身分証を出してください、住所や年齢を書いてください、と言われることがあります。

売るのはこちらなのに、なぜ細かく聞かれるのか。少し構えてしまう人もいると思います。

知り合いに譲るときの防犯登録の手続きは、前の記事で自転車法と3都府県の警察の頁から読みました。今回は、店に売る側から見た決まりを扱います。

手がかりにしたのは、古物営業法と、その施行規則の条文です。どちらも e-Gov法令検索で、2026年9月27日の時点のものを読みました。

あわせて、警視庁の「非対面取引における確認の方法」の頁も読んでいます。これは、店に向けて、対面しない買取での確かめ方を説明した頁です。

どの店がいくらで買うか、どこに売るとよいかは扱いません。あなたの取引に、どの確認の方法が使われるかも、ここでは判断していません。

この記事でわかること
・古物営業法の第15条は、古物を買い受ける古物商に、相手方の真偽を確かめる措置を求めている
・その措置の1つが、相手方の住所・氏名・職業・年齢の確認
・対価の総額が1万円未満なら、措置を要しない場合がある(施行規則が定める品目を除く)
・施行規則が1万円未満でも確認を外さない品目に、自動二輪車と原動機付自転車が入っている
・古物商が買い受けた物が盗品だった場合、被害者は1年以内なら無償で返すよう求められる

買取で住所や年齢を聞かれるのは、なぜ?

売るだけなのに、どうして身元まで聞かれるの?

古物営業法の第15条が、古物を買い受ける古物商に相手方の真偽を確かめる措置を求めているからです。

条文の書き出しは次のとおりです。

古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。

措置として並ぶ号のうち、最初の2つは身近な形でした。第1号は、店が直接確かめる形です。

相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。

第2号は、売る側が書いた書面を受け取る形です。

相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。

聞かれる4つの項目は、この条文の並びそのものです。職業や年齢まで聞かれるのは、条文がその4つを挙げているから、と読めます。

宅配やネットの買取では、確かめ方が変わる

対面しない買取の確かめ方は、警視庁の頁が15の方法に分けて説明していました。その頁には、店に向けた次の注意があります。

免許証等のコピーや住民票の写しを送ってもらうだけでは違反です。

コピーを送ったのに、さらに郵便物を受け取ってほしいと言われることがあるのは、このためです。頁が並べる15の方法のうち6つは、本人限定受取郵便や、転送しない扱いの簡易書留などを店から送り、それが届いたことを確かめる形でした。

安い自転車でも、確認は要るの?

数千円にしかならない自転車でも、同じように聞かれるの?

法律は、対価の総額が1万円未満の取引では、第1項の措置を要しない場合があるとしていました。

第15条第2項は、措置を要しない場合の1つ目をこう書いています。

対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合(特に前項に規定する措置をとる必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物に係る取引をする場合を除く。)

その金額は、施行規則の第16条第1項が決めていました。

法第十五条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める金額は、一万円とする。

1万円未満でも外れない品目に、原付が入っている

同じ第16条の第2項は、1万円未満でも確認を外さない品目を7つ並べています。その第1号は次の品目でした。

自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く。)を含む。)

残りの6つは、エアコンの室外ユニットと電気温水機器のヒートポンプ、家庭用ゲームのソフト、光学的な方法で音や映像を記録した物、電線、金属製のグレーチング、書籍です。原動機の付いていない自転車は、この7つの中にはありませんでした。

ただし、法律で要しないとされる場合でも、店が書類を求めるかどうかは店の扱いによります。1万円未満の買取で何を求めるかは、読んだ資料には書かれていません。

警視庁の頁が挙げる、1万円未満でも確かめること

警視庁の頁には、対面しない買取についての次の一文もありました。

1万円未満であっても、18歳未満の者からの買い取りでないことを確認する必要があります。(メールやメッセージ機能等を使用して確認をする等。)

この確認の根拠になる決まりの名前は、この頁には書かれていませんでした。

盗まれた自転車だったら、どうなるの?

もし売った自転車が盗まれた物だったら、どうなるの?

古物営業法は、店に不正品の疑いがあるときの申告を求め、被害者が店から取り戻せる期間も決めています。

第15条第3項は、店が疑いを持ったときの動きを書いていました。

古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。

第20条は、古物商が買い受けた古物に盗品や遺失物があった場合、店が事情を知らずに買っていても、被害者や落とし主は店に無償で返すよう求められる、という条文です。期間の区切りは、同じ条のただし書にあります。

ただし、盗難又は遺失の時から一年を経過した後においては、この限りでない。

警視庁の頁も、店の側から見た同じ話を書いていました。

これを怠ると違反となり、処罰等を受けることがある上、盗品の処分先として利用された場合は、古物商自身も被害を被ることがあります。

売る側の身元を確かめる決まりは、盗まれた物が売り買いの中に紛れ込むのを防ぐ仕組みの一部だ、という位置づけです。

条文と頁を並べると

確かめる点読んだ資料書かれていたこと
確認の中身古物営業法 第15条第1項住所・氏名・職業・年齢の確認、署名のある書面の受取りなど
確認を要しない場合第15条第2項・施行規則第16条対価の総額が1万円未満(原付・自動二輪など7品目を除く)
不正品の疑い第15条第3項店は直ちに警察官に申告する
盗品だった場合第20条被害者は、盗難から1年以内なら店に無償で返すよう求められる
対面しない買取警視庁の頁コピーを送ってもらうだけでは違反・15の確認方法

表は、各資料の書き方を短くしたものです。元の文は、上の各節の引用で確かめられます。

よくある質問

防犯登録は、売る前に自分で抹消しておくべきですか

店に売るときの防犯登録の扱いは、前の記事で読んだ3つの警察の頁には書かれていませんでした。今回読んだ古物営業法と警視庁の頁にも、防犯登録の話は出てきません。持ち込む店で確かめてください。

身分証を見せれば、職業や年齢を言わなくてもいいですか

第15条第1項は、措置のどれか1つをとるよう店に求める書き方です。どの措置を選ぶか、何を聞くかは店の側の手続きで、売る側が選べるかどうかは、読んだ資料には書かれていません。

電動アシスト自転車も、同じ扱いですか

施行規則の第16条第2項が挙げるのは、自動二輪車と原動機付自転車でした。電動アシスト自転車がどちらに入るかは、読んだ条文と頁には書かれていないので、この記事では判断していません。

この整理が変わる条件

自転車を買取に出すときのめやす
・店が身元を確かめるのは、古物営業法の第15条が求めているため
・聞かれる4項目は、住所・氏名・職業・年齢
・対価の総額が1万円未満なら、法の上では確認を要しない場合がある
・原付と自動二輪は、1万円未満でも確認が外れない
・盗品だった場合、被害者は盗難から1年以内なら店に無償で返すよう求められる

出典

売る前に、持ち込む店が求める書類を確かめてください。

当方が上の出典を引いて確かめた日:

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